私の家には居候がいる。
許可したわけでもないのに、いつの間にか彼は居た。
『ヴァンパイア』
「なあ、ウッドロウ」
「何だい?」
「甘い物が食べたい」
彼――リオンは無類の甘い物好きで、特にプリンが好きらしい。
「わかった。何がいい?」
「プリンだな」
聞いてみたらやっぱりプリンが食べたいらしい。
「ほんとに好きだね、プリン」
「美味いからな」
リオンが望むなら手のかかる物だって、なんでも作ってあげたくなってしまう。
惚れた弱味とでもいうのだろうか。
夕食を済ませ、一息ついていると、甘えるように後ろから抱きしめられる。
「どうしたんだ、リオン?」
「小腹が空いたのでな」
先程食べたばかりだというのに。
しかし、リオンに甘い私は、何か作ろうか?と提案するが、返って来た言葉は意外なものだった。
「食べ物ではなく、お前を食べたい」
「…え?」
「だから…」
「ウッドロウが欲しい」
ほんの少しの間の後に言われた『欲しい』の一言。
その一言を私が断る事もなく、近づいてきたリオンの唇を私は受け入れた。
「んっ、…うっ」
私はリオンの足の上に座り、首にしがみつく体勢で揺さぶられていた。
声が洩れぬように唇を噛み締める。
「あまり、噛むな。傷が付くぞ」
そう言って私の唇を指の腹で軽く撫でるとまたキスをされた。
長く深いものだった。
「……ふっ、…ん………っあ!」
突き上げられながらキスというのは辛いものだと知った瞬間だ。
力が抜けるし、しがみつくのも精一杯。
イイ所を突かれれば声も出てしまう。
恥ずかしい事この上ないのに、リオンはその反応を面白がってる。
本当に意地悪だ。
「よそ事を考えるなんて、余裕だな」
「余裕…なんて、な…っあァ!」
急に弱い所を擦られ、声を上げる。
リオンはというと、やはり意地の悪そうな顔をしていた。
「良い声だ」
「…はっ……ば、か…」
一度出始めたら抑えられないのが声。
突き上げられるリズムに合わせて声を洩らし、絶頂へと追い詰められていった。
「ん、あっ……リオン…も…う」
「そうか、なら、イカせてやる」
限界を訴えれば、更に激しくなる律動に何も考えることができなくなる。
ただただ揺さぶられ、突き上げられ、声をもらすだけだ。
最奥を思いきり突かれ、私は熱を吐き出した。
リオンは私の中へと熱を注ぐ。
その際に力が入り、リオンの背に爪を立ててしまった。
ぷつり、と皮を破る感覚。
血が出てしまったのだろう、少々のぬめりと鉄の匂い。
リオンの様子がおかしい。
そう気付いたのは体の熱はそのままに、ようやく息が落ち着いてきた頃だった。
普段なら、達した後私の中からリオンは出ていき、簡単に処理した後シャワーを浴びに行くのだが、
今日はまだ出ていってすらない。
動くことも話すことすらしないリオンが心配になって呼びかけてみると、ゆっくりと顔を上げた。
眉はひそめられ、目はきつく閉じられていた。
まるで何かを必死で抑え込んでいるように。
「どうしたんだい、リオン?具合が悪い?」
手を伸ばす。
血の付いた手を。
すると、リオンは目をかっと見開いた。
これでもかと言わんばかりに開かれた瞳は血のように紅い。
あきらかにおかしい。
医者に診てもらえば何かわかるかもしれない、と電話を手に取ろうとするが、
「っ?!……んぁ………」
まだ中に入ったままだったことを忘れていた。動けない。
抜こうとするが、擦れて力が入らず逆戻り。
息を整え、もう一度。
吐息混じりの声が溢れる。
上手く力を入れられない腕を叱咤し必死に力を入れリオンの肩を押せば少しずつ腰が浮く。
もう少しだ。後ほんの一息で抜けるという時、顔を上げたまま、動かなくなっていたリオンが再び動き出した。
何をするかと思いきや、腰に手を添え、
「……何を…………は、あ、ああっ!……ふ、ぅっ…」
一気に腰を落とされた。
中に残っていたものがぐちゅりと音を立てる。
生理的な涙が滲み視界が悪くなる。
快感に震える手で涙を拭えば、目の前には
紅い瞳で、口の端を吊り上げ、
獲物を捕らえた肉食獣のように舌舐めずりをするリオンがいた。
あまりの現実離れした表情に体が恐怖で竦む。
その隙を狙うかのように大きく口を開く。
見えた口内には鋭く尖った牙のような犬歯。
離れなくては、と思った時は既に遅く、私は首筋に噛みつかれていた。
ずる ずる ごくり
音がする。
血を吸っているのか?
だが、不思議と痛みはなく、むしろ快感に支配された。
性交をしているかのような甘く、ときに激しい痺れが身体中を駆け巡る。
次第に体から力が抜けていった。
血が足りないことと快感に流されているからだろう。
リオンの上に座った体勢だったが、支えの足に力が入らなくなり、ぐらついた所を押し倒された。
未だ中に入ったままのそこはまたしても卑猥な水音を鳴らす。
痛み、快感に襲われ次にきたのは眠気だった。
ただ単に性交後で疲れているのか、貧血状態になってしまったのか、もしかしたら何か特殊な成分を牙から注がれているのかもしれない。
と他人事のように考える。
眠気が限界に達しそうな頃、リオンが離れていく。
もう瞼を開けていられない。
閉じる直前、頬に水が落ちた感覚と抱きしめられた温もりを感じた。
目を覚ませば寝室には私しかいなかった。
綺麗に清められ、真新しいシーツにくるまっていたが服は着ていなかった。
起きようと体を起こそうとすると体は悲鳴を上げる。特に腰だ。
軋む体で立ち上がれば頭がぐらぐらした。これは貧血のせい。
これが夢ではないということは、体調と首に残った痕があることから確証を得ている。
とりあえず服を着てキッチンへと向かった。
しかし、ここにもリオンはいない。
家中を探したが何処にもいなかった。
不安で胸が締め付けられる。
気が付いたらずっと一緒にいた。
それが当然だと思った。
これからも共に生きていくと思ってた。
でもいなくなった。
テーブルの上に『すまない』と一言書かれたメモを残して。
どう生きていったらいい?
君という存在がいない今、何を支えに生きていけばいい?
君のいない世界。
これほどつまらないものはないよ。
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ジャンヌのヴァンパイアがイメージです
初裏作品なんですけども、ぬるいですよね?
私にはこれが精一杯です…
ぬるくてすみません←