『湯中り注意』
スタン達一行はジョニーの楽器を取りに来ていた。
しかし楽器はアクアヴェイルをあちらこちらと移動していて、歩き回るはめになってしまった。
全員が休みたいと思った中、ルーティの『温泉に入りたい…』という一言でスノーフリアへ向かうことになった。
反対意見を出す人は誰もいなかったらしい。
「あ〜きぼぢいい(ぶくぶく)」
「熱さがちょうどいいな」
「コングマン頭まで真っ赤だし(笑)」
茹で蛸みたいだ。と笑いながら、ペシペシと頭を叩くスタンとコングマンとは離れ、岩場の影にいるのはジョニーとウッドロウ。
美形な二人が醸し出す空気はどこか艶めいている。
小さく聞こえてくるのは言い争っているような声(迫っているような声とも言う)
「ジョニーさん、やめてください…」
「どうして?目の前で肌が晒されてるのに我慢しろだなんて、酷いな、ウッドロウは」
「温泉ですから。それに、スタン君達だっているんですよ?」
「二人がいなかったらいいのか?」
「そういう問題では…っ」
ウッドロウの腰に回されていたジョニーの手が脇腹を掠めると小さく反応する。
面白がるジョニーはあちらこちらと手を伸ばす。
その度に反応するウッドロウが可愛くて、次第に悪戯はエスカレートしていく。
手は太腿を撫ぜ、巻いているタオルの中へと進んでいく。
と
「俺達そろそろ上がりますけど」
突然真横から掛けられた声に驚き、声が出ない。
ジョニーの手はぴたりと停まり、ウッドロウは声を出そうとしているが出ておらず魚のように口をぱくぱくしている。
しかしこれを好機と見たウッドロウはすかさずジョニーから離れ立ち上がる。
「そ、そうだな!私も出ようかな、湯中りしてしまいそ…!」
逃げようとするウッドロウの腕を掴み湯の中に引きずり込む。
「先に出ていいぜ、スタン。俺達今我慢勝負してるんだ」
「我慢勝負ですか?」
「ああ。勝った方が今日のデザートを貰うってやつだ」
「そうなんですか。あ、だったら俺も…」
「それはダメだ」
参加しようとするスタンを止める。
それは当然の事だ。二人は我慢勝負なんかしてないし、ただいちゃつきたいだけ(ジョニーが)
なのにスタンがいては恥ずかしがり屋のウッドロウといちゃこらできない。
ちなみにウッドロウは腕から逃れようとしていたが、腰をがっちりと抱えられ身動きが取れなくなってじっとしている。
「これは俺とウッドロウの勝負だ。スタンには悪いが……」
「はい、わかりました!」
「お?」
話している途中で理解したと言うスタンにジョニーの目が丸くなる。
「男の勝負でしたのに、途中参加したいなんてすいません。ちょっとKYでしたね」
流行の(?)短縮形で話してくるスタン。
どうやらいい具合に勘違いしてくれたようなので、申し訳なさを感じつつも嘘を通す事にした。
「わかってくれたならいいんだ。また今度勝負しような」
「はい!じゃあ、先に失礼しますね。あまり長湯しすぎないように気を付けてください」
「ああ。気遣いありがとうな」
「ウッドロウさん、さっきから喋らないけど大丈夫ですか?」
腕を外そうと水面下で頑張っていたが、ジョニーに器用に指先で撫でられ、
声を殺すのに必死になっていたウッドロウ。
急に話題を振られ、焦る。
「あ、…あっ……りがと、ぅ…スタ…君」
とりあえず返事をするウッドロウだが、構わずに触り続けるジョニーの所為で声が上擦ってしまう。
しかし、我慢勝負をしているから頭がぐらぐらしてるんだなと思ったスタンは、
声について特に気にすることはなく、気を付けてくださいねと一言残し、湯から上がり脱衣所へと向った。
がらがらがらと戸が開き、閉まる音がする。
二人の間に沈黙が流れる。
沈黙を破ったのはジョニーからだった。
ウッドロウの背後でふっふっふと変な笑いが聞こえる。
冷や汗が流れたような気がした。
「やあっと二人きりだな…」
小脇に抱えるような体勢から、両腕で包み込むように抱きしめる体勢へと変わる。
その際にも普通に腕を回すのではなく、表面を掠るか掠らないかのぎりぎりを維持しつつ。
くすぐったさに身を捩っても腕から抜け出せない。
「離してください…おふざけがすぎますよ…」
「ふざけてなんかないさ」
俺は本気だ。
耳元で囁かれれば背筋に電気のようなものが走る。
それは一気に体中を巡り体が熱くなる。
熱に冒されたような吐息を漏らせば満足そうに笑うのが空気を伝わってわかる。
「…っ?!」
首筋にちくりとした痛みが走り何をしたのかと後ろのジョニーを見るが、ウインクを一つパチンとするだけで答えない。
わからないものをわからないままにしておけないウッドロウは問いただそうともがく。
「おいおい、雰囲気が台無しだろう」
「雰囲気なんて最初から求めてません。今何をしたんです?!」
何とか一回転し、ジョニーと向き合う形になったので質問する。
ジョニーはどうしよっかな〜教えよっかな〜とかなんとかもったいぶっている。
そんな様子に痺れを切らしたウッドロウは、仲間なんて関係ない。思い切り暴れてやる。と腕に力を込めた瞬間
、
「よし!教えてやろう」
と楽しげにジョニーが言った。
答えを聞けるとわかったウッドロウが大人しくなった隙を突き、口を塞ぐ。
「ん?!んー!!」
最初は抵抗していたウッドロウもジョニーのテクニックに翻弄され抵抗が緩くなっていく。
離れようと力を入れていた体からは力が抜け、ジョニーの腕にすっぽりと収まり、
突っ張っていた腕は、今や添えられているだけ。
長いキスの余韻に浸ったままぽーっとしているウッドロウをよそに、鎖骨辺りに唇を寄せる。
強く吸えばそこには赤い痕が残る。
「ひゃ……ぁ……」
一箇所に留まらず至る所に痕を残す。
首筋はもちろん、耳の裏、胸元、腕の内側や、脇にもだ。
「どうだ、わかったか?ウッドロウ」
満足そうに言う。
ウッドロウはというと、小さな刺激に震える体をジョニーに凭れ掛からせる。
(お!これはいけるんじゃないのか!!)
と、嬉しそうに思ったのも束の間。
ウッドロウの体から一気に力が抜け全体重がジョニーに掛かる。
ぴったりと触れ合った体温に疑問を覚えた。
快感で体が熱くなったにしては熱すぎる。
そこではっとしたジョニーはすぐさまウッドロウを剥がし仰向けにし額に手を当てる。
思ったとおり、かなり熱い。のぼせていたのだ。
急いで湯から出て脱衣所へ向い、手早く体を拭き、宿屋に置いてあった備え付けの浴衣を着せる。
帯は弛めに締め、宿の宣伝文句が書かれた団扇で扇いでやる。
しばらく扇いでいると少しずつ熱も下がり始め呼吸も落ち着いてきた。
ひとまずこれで安心だ。と一息。
それにしても…ちらりとウッドロウを見やれば、
上気した頬や胸元、薄く開けられた唇、苦しそうに顰められた眉など。
大変色っぽい。
正直悶々した気持ちを抑えるのに必死なジョニーだった。
「……ん…?」
瞼がゆっくりと開けられる。
まだ意識がはっきりしていないのか天井を見つめたまま。
ウッドロウ。と名を呼べばゆっくりとこちらを向く。
「私は一体……?」
「のぼせたんだよ。覚えてないか?」
「あまり……。今何時ですか?」
湯の中での行為を覚えてないと言われ正直ショックを受け、かつさらりと流されるという。
寂しさを隠しきれない中、七時だな、と律儀に答える。
七時と聞いたウッドロウは飛び起きる。七時に食堂に集まる事になっていたからだ。
しかしまだ万全ではないためふらりと倒れるが、ジョニーが腕を回し支えてやる。
「…すみ…ません……」
「いいって」
気にするな。と続ければ安心したように体重を預ける。
脱衣所に自分達しかいないせいか、まだ頭がぼーっとしているのかは定かではないが、やけに素直だ。
だが、そんなウッドロウに愛おしさを一層感じ、回す腕に力が入る。
「そういや、七時からだったな夕食は」
「…はい。早く…行かないと」
「おい、無理すんなって。食べれるのか?」
「少しくらいなら平気ですよ。それに……」
心配をかけたくありませんから。
確かに過剰に心配する二人がいる。
それはもう泣き出してしまうんではないかと思うくらいの。
ピンクの少女はウッドロウに限っては本当に泣いてしまうかもしれない。
泣いている顔が簡単に予想が付くので、絶対泣く、本当に泣くと思う。
それは置いといて。
今日の夕食はバイキング方式だった筈なので軽めの物だけなら平気だろう。
ということで回した腕をそのままに食堂へ向う事にした。
それにしても、湯の中でのことを覚えていない。
つまり、ウッドロウの体中に散らされている痕の事を本人は覚えていないわけで。
普段着ているインナーなら見えないだろうが、今は浴衣。
当然首や胸元に付けた痕が見える。
それを見た周りの反応やら、言われて気付いた本人の反応がとても楽しみである。
「ジョニーさん、何だか楽しそうですね」
「ん?まあ、楽しみだな」
「勝負はどうでしたか?」
「引き分けだった。あと少しだったんだがな」
「そうですか。ウッドロウさん食欲無いんですか?」
「ああ、のぼせてしまったのでな」
「今日はゆっくり休んでくださいね」
「ありがとう、スタン君」
「ねえ、フィリア」
「はい?」
「ウッドロウの首、見た?」
「ええ。我慢勝負なんて嘘ですわね」
「完全に嘘よ。あれは結構いいとこまで行ったんじゃないかしら?」
「おそらく。でもウッドロウさんのあの様子だと、途中で気絶したんじゃないですか?のぼせたと言ってますし」
「ああん、惜しい!本人気付いてないみたいだし〜!のぼせて気絶した所為で忘れちゃったのかしら…」
「惜しいですわ…しかし、未遂というのもネタになりますわ」(がりがり)
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またお風呂話。そしてセクハラ(笑)
うちのサイトのジョニーってもしかしてセクハラしかしてない?!
前のと似たような話だな……
そして相変わらずの二人。リオウド、ジョニウド関係なく登場します(笑笑)