朝早くに集まったのに、なんやかんやと昼近くになってしまった。

そろそろお暇しようか。



『地獄の一丁目からこんにちわ・最終回』



折角のスタン君とルーティ君の旅立ちの日だというのに足止めしては意味が無い。

ということで解散しようとしたところだったが。



「おめぇら二人も此処で誓って行けばいいじゃねえか」



とコングマンが言った。

それは結婚式のように二人で誓い合えということなのだろう。

けど、皆が居るところでなんて、恥ずかしいじゃないか!

丁重に断ろうとしたのだが、



「お!そいつはいい考えじゃないか!」

「だめです!ウッドロウ様は私と結婚するんですぅ!」

「こら、チェルシー。好きな人が幸せになるのなら、と身を引くのも大切な事だぞ」

「はい……」



便乗するのはジョニーさん。

反対するチェルシーを宥め、説得したのはマリーさんだ。



「じゃあ、牧師役はフィリアよね」

「はい、かんばります」



ルーティ君はフィリア君を前へと連れて来て、



「ほら、ウッドロウさん。隣に並んでくださいよ」



私の背を押してミクトランの横へと立たせるのはスタン君だった。



「ちょ、スタン君…」

「往生際が悪いですよ、ウッドロウさん?」

「えぇ!」

「ミクトラン、ウッドロウさんが逃げないように捕まえててやれよ」

「そうだな」



そう言ってミクトランは私の腰へと手を回した。

…いつの間にこんなに仲が良くなったんだ??

そうこうしているうちにフィリア君が式を始めた。



「ミクトラン、あなたはウッドロウさんを幸せにすると誓いますか?」

「誓う」

「ウッドロウさん、あなたはミクトランと共に生きると誓いますか?」

「ち、誓い…ます…」

「これでお二人は結ばれました。お幸せに」



定番で簡単であっけなく終わった簡易結婚式。

だが、それでも、十分嬉しかった。

皆が、かつて敵として戦った彼を、受け入れてくれた事が、嬉しかった。

これで終わりかと思いきや、



「何だよ!キスしろよ!忘れちゃだめだろ!!」



横から言ってくるのはジョニーさんだった。

まったく、あの人はどうしてこんなにも私に恥ずかしい思いをさせたいのやら…

だがミクトランはする気満々のようで。

肩をがっちりと掴まれる。



「もしかして……する気かい?」

「当然だ。このメンバーに手を出されんようにしておかないとな」

「そんな心配はいらないよ」

「お前は自分の魅力というものをわかってない」

「そ、そうかな……?」

「そんなに天然だから他の仲間にも狙われて…」

「ごちゃごちゃ言ってないで早くしろよー」



またジョニーさんが……余計な事を…!

ミクトランは私の顔を見詰めなおした。

視線が絡み合う。



「……ウッドロウ」



そんな真剣な見詰められたら…抵抗なんて…できないじゃないか……

徐々に近づいてくるミクトランの整った顔。

綺麗だな……。なんて思ったときには、唇が触れるか触れないかの位置にあって。

そんな時、フィリア君が「誓いの口付けを」ってタイミングよく言って。

いいタイミングだな。って思ったら、それは触れていた。

ほんの数秒だけ触れていた唇はすぐに離れていった。

少々余韻に浸っていると、聞こえてきたのは拍手の音。



「ウッドロウさん、ミクトランとお幸せに」

「ラブラブになりすぎて、国の事放置するんじゃないわよ」

「女神アタモニのご加護があらん事を」

「幸せにな、ウッドロウ、ミクトラン」

「喧嘩なんざするんじゃねぇぞ。城がぶっ壊れちまう」

「身を引いたんだ、幸せにならないと毎晩大音量で歌ってやる」

「チェルシーは絶対負けません!」



皆の暖かな声がして、私の視界は滲んでいた。

悲しいわけじゃくて、本当に嬉しくて……





「じゃあそろそろ行こうかルーティ」

「そうね」

「今日は来てくれてありがとう」

「また会いましょ」



そうして二人は旅立った。

他の者達も故郷へと戻っていく。

スタン君とルーティ君は世界を旅しに。

フィリア君はさらに信仰を広めるために。

マリーさんはダリスの許へ。

コングマンは子供達のヒーローであるために。

ジョニーさんはアクアヴェイルを統合するために。

チェルシーは……花嫁修業と叫んでいたな。

そして私達は―――――――




帰国の船の中割り当てられた部屋の中に居た。

私はミクトランに抱きしめられていた。



「なあ、ミクトラン」

「何だ?」

「今よりも良い国を作れるだろうか…」

「できるさ。ウッドロウと私なら。必ず」

「そうか……がんばらないとな」

「ああ」



私はミクトランの首へ腕を回す。



「どうしだ、ウッドロウ?」



わかっているくせに。わからない、といった表情でこちらを見る。

少しずつ距離を縮めていく。



「ミクトラン……愛してるよ」



直前で囁き口付ける。

触れただけですぐに離れ、ミクトランが答えた。



「私も、愛している」



言った後、もう一度重なる唇。

今度はすぐには離れなかった。




これからより良い国を作るために忙しくなるだろう。

ときには立ち止まってしまうかもしれない。

けど、きっと歩き出せる。そう思うんだ。

貴方と――ミクトランと一緒なら、と。

これからは二人一緒に歩いて行こう。



私達の歩はまだ、





始まったばかりなのだから。




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これで一丁目完結です。
無理矢理終わらせた感が否めませんが…
お二人には幸せになって欲しい…!
あ、一丁目だからって二丁目三丁目はでませんよ(笑
ここまで見てくださった方、ありがとうございました!