キャスト
ベースの姫→フィリア、王子→スタン、話せない姫→ウッドロウ、剣士→リオン、悪い魔法使い→コングマン、天の声→マリー
こんな感じで(?)
話せない姫というのはベースの姫の魔法をかけられた後ということになります
ナレーションと話せない姫の心の声はルーティが吹き替えております
ちなみに心の声は《》です



ちなみに姫の格好=アトワイトの服なのでウッドロウは女装ということになります











































お城にはお姫様と王子様が暮らしていました。
平和で何不自由ない暮らしでしたが、お姫様はその生活を少しつまらないと思っていました。
そんなある日のこと姫の前に悪い魔法使いが現れたのです。


「フィリアさん…乱暴な口をきいてしまうことお許しください…」


ちょっとコング何やってんのよ!真面目にやりなさい!!


「わかってるよ…いよぅ姫様、つまらないと思うのなら、この俺様がおもしろくしてやるぜ!」

「きゃあぁぁ」


いいわよフィリア!
煙が姫を包み込みます。煙が消えると魔法使いは居なくなっていました。


《一体何が…!》


何と声が出なくなっていたのです!
部屋にかけられていた鏡に知らない誰かが映っていました。


《だ、誰!?》


しかし鏡に映った人物は何もしてきません。
それもその筈。鏡に映った銀髪の褐色の肌を持った人物は、自分自身だったのです。


《どうしたら……》


悩んでいると部屋に召使が入ってきました。
召使達は驚いて兵士を呼びました。
兵士達は姫を狙った侵入者だ!と襲い掛かります。
姫は声が出ないながらも一生懸命兵士に訴えたのです。


《私は侵入者じゃありません!信じてください!》


言葉は通じませんが、必死に訴えようとする姿を哀れに思った兵士は城から追い出すだけに止まったのです。


城から追い出され、行く当てもない姫は街を彷徨っていました。


《これからどうしたらいいのかしら…》


城にも戻れず、王子にも会えない。
寂しくなった姫はぽろぽろと涙を流しました。
すると通りかかった人がハンカチをさしだして言いました。


「涙を拭いてください」


黒衣の剣士でした。
剣士は何があったのですか?と訊ねました。
姫は事情を話すとまた泣いてしまいました。
剣士は困ってしまいました。


「とりあえず僕の屋敷へ行きましょう。そのような格好で街を歩いていたら目立ちます」


そう言われ、姫は剣士と共に歩いていきました。

剣士の王族の人が別荘に使っているのではないいかと思うほどに立派な物でした。
魔法が解けるまでここにいても構いません。と言う言葉に甘えることにしました。

その日のうちに魔法は解けず、朝が来ました。
まだ魔法は解けていませんでした。

剣士はとても親切にしてくれました。
なんとか声が出せないかと発声練習をしたり、息抜きに遊んだりしました。
しかしその日も魔法が解けることはありませんでした。

次の日、姫の心に変化が現れました。
早く王子の元へと帰りたいと思う反面、このまま剣士と共にいたいと思うようになったのです。
揺れる心はやがて、一つの人格となったのです。
元となる王子のことが好きな姫は魔法によって出てくることはできませんでした。

ある日、王子が剣士の屋敷の前に陣を敷きました。
姫を解放しなければ進攻すると宣戦布告したのです。
姫は焦りました、剣士と離れたくない、けれどこのままでは……
紙とペンを持って剣士の下へと向いました。姫は決心したのです。


《剣士様、私は王子様の元へと戻ります》

「え……まだ、元の姿に戻っていないのに」

《このままでは王子様は剣士様の下へと攻めて来るでしょう。私はお二人が争う姿を見たくはないのです》

「…………」

《私の中に眠るもう一人の私は王子様の事を愛しているのです》

「…でも、僕は!…僕はあなたの事を……!」

《……ありがとうございました。短い間でしたが、私はとても…幸せでした…》


姫は窓際に立ち手を胸の前で組み、祈りました。


《こうなってしまったのもあの日私が馬鹿なことを思ってしまった所為。
 私は消えてしまっても構わない、だからどうか、剣士様が幸せに……》

「反省したようだな」

《!!?》


謎の声が聞こえたかと思うとあたりは眩い光に包まれました。

光が消え、目が慣れてきました。
するとそこにはもう一人の姫が居たのです。


《もう一人の…私?》

「魔法が解けた…ということでしょうか?」

「その通り。王子の下へと行きなさい」

「…はい。ありがとうございます」


姫は王子の下へと駆けていきました。


《何故…私は……?》

「お前は剣士の幸せを願った。剣士の幸せにはお前が必要なのだ」


振り返ると剣士は微笑んでいました。
姫の瞳からは大粒の涙が零れました。
剣士は姫を包み込むように抱きしめ言いました。


「これからはずっと一緒にいられるんだな」

《…はい!》

「お前に魔法をかけた魔法使いは倒された。すぐにでも声が出せるようになるだろう」


謎の声はそう言って気配を消しました。


「ずっと…ずっと一緒だ」

《はい》


まだ声が出ない代わりに頷きます。


「あなたの事を…愛している」

《…私も、愛しています》


剣士の顔が近づき、姫の唇と剣士の唇が重なりました。





窓からは暖かい日差しが差し込んでいました。






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