ウッドロウの姿が見えなくなった後ヒューゴに問いただした。


「貴様!ウッドロウに何をした!!」

「何も」

「記憶でもいじったのか?僕のことなど、どうでもいいように!」

「だから何もしてはおらん」

「嘘だ!」

「嘘ではない。そういえばあの時、お前は気絶していたか?」

「あの時…?」



「やめろーーー!!!!」

「はははははははは!!!!」


私は陛下の体を弄り続けていた。


「ウッドロウに…触るなぁ!!」

「リオン!……っうあ!」


上ずった声を聞き、リオンの理性は抑え切れなくなったのだろう。血が上った様相だ。


「!………殺す!!」

「くくく、返り討ちにしてくれる!」

「だめだ!リオン!!」


ウッドロウの制止の声も聞こえていない。相当キているようだ


「死ねぇ!!」


シャルティエを構え、こちらに向ってくる。


「やめるんだ!リオン!」

「ぐ、離せ!あいつを殺す!」


しかし、戻ってきたバルックに羽交い絞めにされ身動きがとれない。

なんとか逃れようともがくが、


「君がヒューゴ様を殺すより、ウッドロウ陛下が殺される方が速いとなぜ気付かない!?」

「!!……僕は…」


この言葉で理性を取り戻す。

陛下の手首はいまだに捉えたまま。いつでも折ることができる。

近づいたときに、へし折って、痛みに叫ばせてやろうと思ったのに…バルックめ、余計なことを。まあいい。


「バルック、眠らせろ」

「はい」

「がはっ」


重い衝撃を受けリオンの意識は途切れ、ぐったりとしていた。


「リオン!!このっ、!…しっかりして、リオン」


動かなくなったリオンを見て青ざめた様子で駆け寄ろうともがく。

ああ、これはちょうどいい。

陛下を解放し、落ちていたイクティノスを拾う。


「陛下そこをどいていただけますかな?」

「どいたら、殺すつもりなのだろう?絶対に動かない!」

「さて困った……押さえろ」

「は!……すいません、陛下…」

「これで心置きなく殺せるな。さらばだリオン」

「や、やめてくれ!何でもするから!」


『何でもする』この言葉を、待っていたのだ。


「ほう。なんでも、ですか?」

「…僕の声が聞こえますか?」

「聞こえている」

「僕からもお願いします」

「そうか。そこまで言われてはしかたがないなぁ。シャルティエは今後屋内でのリオンとの会話を禁止する。破った場合はちょっとしたゲームだ。
そして陛下、あなたは私のものになっていただく」

「な?!」


戸惑った様子でも、返答などとうにわかっている。


「刃向かうおつもりで?ならばここで首を刎ねますが……」

「なんて卑怯なんだ…!」

「お前をこなごなに砕いてリオンの側にいられぬようにしても良いのだぞ?」

「そんな…!」

「……わかった…。私がお前の物になれば、リオンを助けてくれるんだな」

「もちろん」


ほら、思ったとおりだ。


「ウッドロウさん!」

「リオンを頼んだよシャルティエ君」

「……はい…」

「では移動しようか、新居へ。バルック、リオンを運んでやれ」

「わかりました」

「これから楽しくなりそうだ。よろしく頼むぞ、ウッドロウ」

「………」


早速抵抗か。無駄な努力というものだ。


「私は上司ということになる、敬称をつけて呼ぶように。リオンにも敬称だ。といっても「君」だろうがな。わかったか?」

「はい、ヒューゴ「様」」

「ふっ、よろしい」


どちらかを抑えれば抵抗はできない。それが「愛」というものの弱点。

互いが互いの足を引っ張り合うとは、滑稽なことだ。

勘の鋭い二人ならば尚のこと。もう一つのソーディアン――ベルセリオス――を所持している私に攻撃を仕掛けることはもうないだろう。

いつでも捨てることができる、最高で、美しい駒を手に入れた。


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