小説だけどやっぱ日記のなんでここにおきます


『痺れを切らしたのは…』


宿での夜。
リオンは一人ベッドに腰掛け本を読んでいた。
すると、背後からドアの開く音。
木の床を静かに軋ませながら歩いてくる一人の人影。

「リオン」

低く落ち着きを持った声は甘く優しい響きで名前を呼ぶ。
リオンの腰掛けているベッドに乗り上げ、するりと首に腕を回す。

「どうしたウッドロウ」

随分と積極的じゃないか。
と本から目を離さずに続ける。
「たまにはね」と耳元でくすくすとウッドロウは笑う。くすぐったい。

しばらくはそのまま動かなかった、どちらも口を開かなかった。
ウッドロウはリオンの首に縋りついたまま、リオンは黙々と文字を追った。
部屋に響くのはページをめくるときのかすれる音だけだった。

「……リオン…」

先に口を開いたのはウッドロウだった。
部屋に入って来たときとは違う調子の声。
拗ねたような、そんな声だった。

「いつまで本ばかり見ているんだい?こんなに……」

近くにいるのに…
耳元で甘えるように囁かれ、ぞくりとする。
リオンはくすりと笑う。

「いつまで我慢できるかと思ってな」

それはウッドロウに対してか、自身に対してなのかはわからない。
ただわかるのは、これ以上のおあずけは耐えられないという事。
リオンは本をベッドサイドに置いた。
体を捻り、向き合う形になってウッドロウの肩を押す。
倒れた体の上に乗り、上から見下ろす。
いつも見下ろしてくる者を見下ろすのはいい眺めだ、と思う。

「やっと見てくれたね」

ウッドロウが至極嬉しそうに笑う。

「本当はもっと早くにウッドロウを見たかったんだ」

嘘ばっかり。
嘘じゃない。
言って二人は笑った。

「どうして欲しい?」

急にリオンの声のトーンが下がる。
酷く挑戦的な瞳に見つめられただけで、ウッドロウは体が熱くなるのを感じた。
はあ、と熱の篭る息を吐き出し、

「リオンの好きなように」

と瞳を潤ませる。
酷く扇情的な瞳は、リオンの理性を一気に剥ごうとする。
表面的には余裕を纏い、その裏で本能を抑えこむ。
本能を剥き出しにするのは、もっと後。
ウッドロウの理性が崩れ落ちてからだ。

どうやって追い詰めるか算段を立て、では挨拶から。と触れるだけのキスを。
一旦離れ、見詰めあい、もう一度キスをした。
これから始まる熱く長い夜を示唆する、深く長い口付けを。


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示唆の使い方間違ってるような気がした…